なぜ眼精疲労が起こるのか?
① 毛様体筋の疲労
目は近くを見るとき、「毛様体筋(もうようたいきん)」という筋肉が収縮し、水晶体の厚みを変えることでピントを合わせています。
スマートフォンやパソコンを長時間見続けると、この毛様体筋が緊張した状態が続きます。
筋肉は長時間収縮し続けると血流が低下し、疲労物質が蓄積します。
その結果、ピント調節がスムーズにできなくなり、「目の奥が重い」「ピントが合わない」といった症状につながります。
これは、肩をずっとすくめた姿勢を続けると肩がこるのと同じような現象です。
② ドライアイによる負担
画面に集中していると、瞬きの回数は通常の約20回/分から、半分以下に減ることがあります。
瞬きが減ると涙が蒸発しやすくなり、目の表面が乾燥します。
涙には、
- 目の表面を保護する
- 酸素や栄養を届ける
- 異物を洗い流す
といった役割があります。
涙が不足すると目の表面に細かな傷がつきやすくなり、疲れや痛み、ゴロゴロ感、かすみ目を感じやすくなります。
③ 首・肩こりとの関係
「目が疲れると肩がこる」という経験はありませんか?
実は逆もあります。
首や肩の筋肉が硬くなると、後頭部から目へ向かう血流が低下し、目の周囲の筋肉にも負担がかかります。
特に後頭部には、目の動きに関わる神経や血管が多く存在します。そのため、首や肩のこりが強い方ほど、目の奥の重さや頭痛を伴うことがあります。
④ 自律神経の乱れ
自律神経には、活動時に優位になる交感神経と、休息時に働く副交感神経があります。
ストレスや睡眠不足が続くと交感神経が優位になり、全身の血管が収縮しやすくなります。
すると、目の周囲や首・肩の血流が低下し、筋肉の緊張も強まるため、眼精疲労が悪化しやすくなります。
また、交感神経が過剰に働くことで涙の分泌が減少し、ドライアイを悪化させることもあります。

東洋医学ではどのように考える?
東洋医学では、目は全身の状態を映し出す場所と考えられています。
「肝」と目の関係
東洋医学では「肝は目に開竅する」といわれ、目は肝と深く関係しています。
肝には血を蓄え、全身へ巡らせる働きがあります。
ストレスや疲労によって肝の働きが乱れると、目へ十分な栄養が届かず、疲れ目やかすみ目、目の奥の重さなどが現れやすくなります。
「腎」と目の関係
腎は生命エネルギーの源であり、加齢や慢性疲労と深く関係しています。
腎の働きが低下すると、目の回復力も落ち、慢性的な眼精疲労や視力の低下、耳鳴り、腰痛などを伴うことがあります。
気血の巡り
東洋医学では「気」と「血」が全身を巡ることで、目にも十分な栄養が届けられると考えます。
ストレスや姿勢の悪さによって気血の巡りが悪くなると、首・肩の緊張が強くなり、眼精疲労が慢性化しやすくなります。

鍼灸で期待できる作用
鍼灸では、目の周囲だけでなく、首・肩・背中・手足のツボも用いて全身を調整します。
① 筋肉の緊張緩和
鍼刺激により、首や肩、目の周囲の筋肉の緊張を和らげることで、局所の血流改善が期待されます。
その結果、目の奥の重さや首・肩こりの軽減につながることがあります。
② 血流の改善
鍼刺激は局所の微小循環を促すことが報告されており、酸素や栄養が届きやすい環境を整えます。
これにより、疲労物質の排出が促され、筋肉の回復をサポートします。
③ 自律神経の調整
鍼灸は、自律神経のバランスを整える作用が期待されています。
交感神経の過剰な緊張が和らぐことで、血流や涙の分泌、睡眠の質の改善につながり、眼精疲労の悪循環を断ち切る一助となります。
ご自宅でできるセルフケア
施術に加えて、日頃のケアも大切です。
- 1時間に1回は遠くを20秒程度見る
- 意識して瞬きを増やす
- 蒸しタオルで目を5~10分温める
- 首や肩を軽く動かす
- パソコン画面の高さを調整する
- 十分な睡眠をとる
こうした習慣を取り入れることで、目への負担を軽減できます。
まとめ
眼精疲労は、単に「目を使い過ぎた」だけではなく、毛様体筋の疲労、ドライアイ、首・肩の筋緊張、自律神経の乱れなど、複数の要因が重なって起こる症状です。
東洋医学では、目だけでなく「肝」や「腎」、気血の巡りなど全身のバランスを重視します。
そのため鍼灸では、目の周囲だけを施術するのではなく、首・肩・背中や全身を整えながら、根本的な改善を目指します。
「眼科では異常がないと言われた」「目薬では改善しない」「目の奥の重さや頭痛、首・肩こりが続いている」という方は、身体全体からアプローチする鍼灸が役立つ場合があります。
当院では、一人ひとりのお身体の状態や生活習慣を丁寧に確認し、症状の原因に合わせた施術をご提案しています。
慢性的な眼精疲労でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。