東洋医学コラム:五臓の「肝」

 

 

 

はじめに

 

東洋医学でいう「肝(かん)」は、西洋医学の肝臓とはちょっと違う意味を持っています。

もちろん体の中の肝臓とも関係はありますが、それだけでなく、体じゅうのエネルギー(気)や血の流れをコントロールする指揮者のような役割も担っています。さらに、感情や目の健康、筋肉のしなやかさまで関係している、とても働き者の存在です。

イメージでいうと、川の水が滞らずに流れるように、肝は体と心の流れを整える“水門”のようなものです。

 

 

 


 

 

 

肝の主な役割

 

1.気や血をスムーズに流す

肝は、血液やエネルギーを体のすみずみまで送り届けます。必要なときには送り出し、休むときには血をためて回復させます。もし肝がうまく働かないと、気や血が滞って体が重くなったり、気分までどんよりします。

 

2.感情のブレーキ役

肝は「怒り」の感情と深い関係があります。ストレスや不満を抱え込むと、肝の流れが詰まってイライラしやすくなります。逆に、肝が整っていると気持ちもスッキリし、穏やかに過ごせます。

 

3.目と筋肉の健康を守る

肝は血を通して目や筋肉に栄養を届けています。肝が弱ると、目が疲れやすくなったり、かすんだり、筋肉がつりやすくなります。

 

 

 

肝が疲れているときのサイン

 

・ イライラしやすい、ため息が多い

・ 目がかすむ、目が乾く

・ 肩や首のこりがひどい

・ 足がよくつる

・ 生理の不調(痛みや周期の乱れ)

 

 

 

肝を元気にする生活習慣

 

1.食べもの

 - 血を増やす:レバー、しじみ、黒ごま、ほうれん草、クコの実
 - 気の流れを良くする:柑橘類(オレンジ、グレープフルーツ)、しそ、ミント
 - お酒や辛すぎる物は控えめに

 

2.生活リズム

 - 夜11時〜深夜3時は肝が血を回復する時間。できるだけ寝ているのが理想

  運動はストレッチや深呼吸など、体をゆっくり伸ばすものがおすすめ

 

3.ツボ押し

  太衝(たいしょう):足の甲で、親指と人差し指の骨の間のくぼみ。気の流れを整える

 - 肝兪(かんゆ):背中の真ん中あたり、第9胸椎の高さ。肝を元気にする

 

 

 

季節と肝

 

春は肝とつながりが深い季節。

冬にためこんだエネルギーを一気に外へ放つため、体や心の流れが乱れやすくなります。春先にイライラやめまい、花粉症が悪化する人が多いのも、この時期に肝が影響を受けやすいからです。香りの良い野菜(セロリ、春菊、パクチーなど)を食べて、肝の流れをスムーズにしましょう。

 

 

 

まとめ

 

肝は「流れのエンジン」です。
ここが元気だと体も心もスムーズに動き、毎日を快適に過ごせます。逆に疲れてしまうと、体も気持ちもつまってしまいます。早寝、ほどよい運動、旬の食材を取り入れることが、肝のメンテナンスになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

< 関連コラム >

 

 

「東洋医学」シリーズ

 

「肝」のコラム

「心」のコラム

「脾」のコラム

「肺」のコラム

「腎」のコラム

 

東洋医学の基本とは?

五臓六腑とは?

 

 

 

「季節を味方にするカラダケア」シリーズ

 

季節を味方にするカラダケア : 春

季節を味方にするカラダケア : 夏

季節を味方にするカラダケア : 長夏

季節を味方にするカラダケア : 秋

季節を味方にするカラダケア : 冬

 

季節を味方にするカラダケア : すべて

 

 

一覧に戻る

ご予約はこちらから

\相談だけでも大丈夫ですのでお気軽に/

はじめての方も安心の返金保証制度をご用意しております。
たった一度のご来院でも、我々の専門知識と確かな技術で
お客様のお悩みの症状に対する概念を、きっと変えられると思ってます。
是非一度お気軽にご相談ください。

ご予約はこちらから