お知らせ & コラム NEWS / COLUMN
突発性難聴と鍼灸 ― 東洋医学からのアプローチ

ある朝、突然耳が聞こえにくくなった、耳に詰まったような違和感がある――そんな症状に襲われるのが「突発性難聴」です。明確な原因が分からず、前触れもなく発症するため、多くの方が強い不安を感じる疾患でもあります。発症後はできるだけ早く耳鼻科を受診し、ステロイド治療などの西洋医学的処置が基本となりますが、鍼灸も回復をサポートする補完療法として注目されています。
突発性難聴とは?
突発性難聴は、数時間から数日の間に急激に片方の耳が聞こえづらくなる病気です。
めまいや耳鳴り、耳の閉塞感を伴うこともあります。日本では年間3万人以上が発症するとされ、特に30〜60代に多く見られます。
医学的には内耳(蝸牛)に血流障害が起きて、音を感じる感覚細胞が損傷することが原因と考えられていますが、ストレスや疲労の蓄積、自律神経の乱れ、ウイルス感染なども関与しているとされます。
東洋医学が見る突発性難聴
東洋医学では、耳は「腎」と「肝」と関係が深いと考えられています。「腎」は生命力や成長・老化、骨や髄(神経)を司り、「耳は腎の竅(あな)」といわれるように、腎の衰えや不調が耳の働きに影響するとされています。
また、「肝」は気血の巡り、自律神経的な働きに関連し、ストレスや怒りなどの感情の高ぶりが肝の不調を引き起こし、気の流れを阻害することで耳に影響を及ぼすと捉えます。
突発性難聴は、まさにこの「腎虚(じんきょ)」や「肝鬱気滞(かんうつきたい)」、「痰湿(たんしつ)」といった東洋医学的な病態と密接に関係しています。
鍼灸の治療アプローチ
鍼灸治療では、突発性難聴の原因を東洋医学的に見極め、それに応じた経絡(気血の通り道)やツボにアプローチします。代表的な施術例は以下の通りです。
・ 耳周囲のツボ:聴宮(ちょうきゅう)、聴会(ちょうえ)、翳風(えいふう)などを刺激し、局所の気血の流れを改善します。
・ 全身調整:腎経・肝経・胆経などに属するツボ(太谿、肝兪、陽陵泉など)を使って、体全体のバランスを整えます。
・ ストレス緩和と自律神経調整:百会、神門、内関などのツボを使い、精神的緊張を和らげ、自律神経のバランスを整えます。
また、耳の後ろにある「翳風(えいふう)」や「完骨(かんこつ)」などのツボは、耳周囲の血流を改善するのに非常に有効で、耳の詰まり感や痛みの軽減にも効果が期待できます。
鍼灸の効果とタイミング
突発性難聴は早期治療が何より重要です。
発症から1週間以内の治療開始が望ましく、鍼灸も同じく「できるだけ早く」始めることで、回復を助ける可能性が高まります。
特に西洋医学の治療と並行して行うことで、相乗的な効果が期待されます。
また、症状が落ち着いたあとでも、後遺症として耳鳴りや違和感が残る方も多く、鍼灸はそのような慢性化した不調の緩和にも有効です。
日常生活でのセルフケアと注意点
突発性難聴を予防・再発防止するためには、日頃からストレスをためない生活を心がけ、十分な休息を取ることが大切です。
耳を冷やさない、過度な音にさらされない、過労を避けることも重要です。
また、睡眠の質を高めたり、目の使いすぎを控えたりすることで、耳や神経系への負担を軽減できます。
最後に
突発性難聴は突然私たちの日常を奪う病気ですが、早期の適切な治療と身体全体のバランスを整えることで、回復を目指すことができます。
鍼灸はその回復を支える力強い味方となり得ます。
西洋医学と東洋医学の良さをうまく組み合わせ、ご自身の体と耳の声にしっかり耳を傾けてみてください。
ご予約はこちらから
\相談だけでも大丈夫ですのでお気軽に/
はじめての方も安心の返金保証制度をご用意しております。
たった一度のご来院でも、我々の専門知識と確かな技術で
お客様のお悩みの症状に対する概念を、きっと変えられると思ってます。
是非一度お気軽にご相談ください。
