【過敏性腸症候群と鍼灸】つらいお腹の不調に、東洋医学という選択肢

 

 

「お腹の調子が悪いのに、病院では異常なしと言われた」「ストレスがかかるとすぐに下痢になる」「便秘と下痢を繰り返してつらい」――そんな悩みを抱えている方は意外と多く、それは「過敏性腸症候群(IBS)」という状態かもしれません。

現代人の10人に1人が経験するといわれるIBS。明らかな腸の病変がないにもかかわらず、腹痛や便通異常が慢性的に続くこの症状は、ストレスや生活習慣とも深く関係しています。そして今、その緩和法の一つとして「鍼灸」が注目され始めています。

 

 


 

 

過敏性腸症候群とは?

過敏性腸症候群(IBS)は、消化器系の検査では異常が見つからないにもかかわらず、慢性的な腹痛や下痢・便秘などの便通異常を繰り返す機能性疾患です。

 

主なタイプは以下の4つに分類されます:

・ 下痢型:突然の腹痛や強い便意によりトイレが手放せない。

・ 便秘型:腹部の膨満感、排便困難が続く。

・ 混合型:下痢と便秘が交互に起こる。

・ 分類不能型:上記に当てはまらない不安定な症状。

 

多くはストレスや緊張、不規則な生活習慣、食事の偏りが引き金となって発症するとされており、20〜40代に多く見られます。

 

 

西洋医学でのアプローチ

IBSに対して病院では、整腸剤や下痢止め、便秘薬などの対症療法や、抗不安薬、抗うつ薬の処方が行われることもあります。また、食事療法(低FODMAP食)やカウンセリングも取り入れられます。

しかしこれらは「対症療法」であり、根本から体質や自律神経のバランスを整えるわけではないため、再発や慢性化に悩む方も多いのが現状です。

 

 

 

 

東洋医学で見る過敏性腸症候群

東洋医学では、IBSを「脾(ひ)と肝(かん)の不調」としてとらえます。

 

・ 脾の弱り(脾虚):消化吸収をつかさどる脾が弱ることで、食物をうまく処理できず下痢や便秘に。

・ 肝の気滞(きたい):ストレスによって肝の“気”が滞ると、腸の働きも乱れやすくなります。

 

また、「冷え」や「気虚(エネルギー不足)」、「湿(余分な水分)」といった体内環境のバランスの崩れが、IBSの症状を慢性化させると考えられています。

東洋医学では、これらのバランスを「全身の流れ」から整えていくため、根本改善を目指したい方には適したアプローチといえるでしょう。

 

 

鍼灸ができること

鍼灸では、腹部や背中にある消化器に関連するツボを刺激したり、ストレスに関係するツボを使って自律神経のバランスを整えたりします。

 

代表的なツボは以下のとおりです:

・ 中脘(ちゅうかん):胃腸の機能を整える、みぞおちとおへその間のツボ。

・ 天枢(てんすう):おへその左右指3本分にあるツボで、便通を調整。

・ 足三里(あしさんり):胃腸を元気にし、全身のエネルギーを補うツボ。

・ 太衝(たいしょう):ストレスによる気の滞りに働く、足の甲のツボ。

 

これらのツボを刺激することで、腸の動き(蠕動運動)を穏やかに整えたり、過敏に反応しすぎる自律神経を落ち着かせたりする効果が期待されます。

また、お腹を温める「温灸(おんきゅう)」を併用することで、冷えによる便通異常や腹痛にもアプローチします。

 

 

鍼灸での施術の進め方

IBSの鍼灸治療は、症状の強さや体質によって施術計画が変わります。目安としては、週1回の施術を4〜6回ほど行い、体の反応をみながら頻度を調整していきます。

 

同時に、以下のような生活改善を取り入れることで、より効果が高まります。

  • 冷たい飲食物を避ける

  • 腹部の冷え対策(腹巻・足湯など)

  • 食事時間をなるべく規則的に

  • 深呼吸や散歩など、日々のストレス対策

鍼灸は「薬に頼りたくない」「副作用のない方法で整えたい」と考える方にとって、安心して続けられる自然療法のひとつです。

 

 

最後に

過敏性腸症候群は、見た目ではわかりにくいものの、日常生活に大きなストレスを与えるつらい症状です。病院で「異常なし」と言われて終わってしまった方こそ、身体全体のバランスをみる東洋医学の考え方が役立つかもしれません。

鍼灸は、症状の出ている「お腹」だけでなく、ストレス・冷え・体質そのものにアプローチすることで、根本から改善をめざすやさしい医療です。

繰り返すお腹の不調にお悩みの方は、ぜひ一度、鍼灸という選択肢を試してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

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