倦怠感と鍼灸

 

 

 

〜「なんとなく疲れが抜けない」を整える東洋医学的アプローチ〜

 

「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」「常に体が重い」「やる気が出ない」

――このような“慢性的なだるさ”に悩む人が近年増えています。


検査をしても特に異常が見つからず、「自律神経の乱れ」「ストレス」「更年期」などと片付けられてしまうことも少なくありません。

こうした 倦怠感(けんたいかん) は、体だけでなく心のエネルギーが低下している状態です。

東洋医学では、単なる疲れではなく、「気・血・水」の巡りが滞り、体全体のバランスが崩れているサイン として捉えます。

鍼灸は、この「巡り」を整えることで、内側からエネルギーを取り戻していく自然療法です。

 

 

 


 

 

 

倦怠感が起こる主な原因

 

倦怠感にはさまざまな要因があります。

 

  1. ストレスと自律神経の乱れ
     現代人に最も多いのがこのタイプ。仕事や人間関係のストレス、不規則な生活によって自律神経が乱れると、身体のON/OFFの切り替えができなくなり、常に緊張した状態が続きます。

  2. 血流の滞り(瘀血)
     冷えや運動不足、筋肉のこりなどによって血液の流れが悪くなると、細胞に酸素や栄養が行き渡らず、体が重だるく感じます。

  3. 内臓機能の低下
     暴飲暴食や睡眠不足が続くと、胃腸や肝臓の働きが落ち、エネルギーを生み出す力が弱まります。これにより、「疲れが取れない」状態に。

  4. ホルモンバランスの乱れ
     女性では、生理周期や更年期など、ホルモン変化によるだるさが現れることもあります。

  5. 気候や季節の影響
     梅雨や季節の変わり目は、湿気や気圧の変化によって体の中の「水の巡り」が悪くなり、だるさや重さを感じやすくなります。

 

 

 

東洋医学でみる倦怠感

 

東洋医学では、体のエネルギーを「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つの要素で考えます。

倦怠感は、これらのどれか、もしくは複数が乱れることで起こるとされています。

 

  • 気虚(ききょ)タイプ
     体のエネルギー源である「気」が不足している状態。
     疲れやすい・息切れ・声が小さい・やる気が出ないといった症状が特徴です。
     原因は、過労や睡眠不足、食事の不摂生など。

 

  • 気滞(きたい)タイプ
     ストレスなどで「気」の流れが滞っている状態。
     胸がつかえる・ため息が多い・イライラしやすい・頭が重いなど、精神的な倦怠感を感じやすいです。

 

  • 血虚(けっきょ)タイプ
     「血」が不足し、体を十分に養えない状態。
     立ちくらみ・目の疲れ・集中力の低下・不眠などを伴うことがあります。

 

  • 湿滞(しつたい)タイプ
     体の中に余分な「水(湿)」がたまり、重だるさが出るタイプ。
     梅雨時期や冷たい飲み物の取りすぎ、運動不足などで悪化します。

 

鍼灸では、問診や脈・舌・腹部の状態から体質を見極め、滞っている部分を見つけて整えていきます。

 

 

 

 

 

 

鍼灸による倦怠感へのアプローチ

 

倦怠感の鍼灸治療では、「気血水の流れを整え、内臓の働きを高める」ことを目的とします。

 

① 自律神経のバランスを整える

頭や首、背中のツボ(百会・風池・肩井・心兪など)を使い、交感神経と副交感神経のバランスを調整。

体をリラックスモードへ導きます。

 

② 胃腸を整え、エネルギーを補う

倦怠感の根本には「気の不足」が関係していることが多いため、「中脘」「足三里」「気海」など、消化吸収や代謝を促すツボを刺激して、エネルギーを生み出す力を高めます。

 

③ 血流を改善し、老廃物を流す

背中・腰・足のツボ(肝兪・脾兪・三陰交など)を用いて、血液循環を促進します。

全身の滞りを解消することで、体の軽さを実感しやすくなります。

 

④ 温灸・温熱療法の併用

慢性的な倦怠感には、冷えが関係していることが多いため、お腹や腰への温灸で体を芯から温めます。

これにより、代謝が上がり、内臓の働きも活性化します。

 

 

 

鍼灸がもたらす効果

 

鍼灸の刺激は、筋肉や血管、自律神経を穏やかに調整します。

その結果、次のような効果が期待できます。

 

  • 血流の改善による体の軽さ

  • 自律神経の安定による睡眠の質向上

  • 胃腸の働き改善によるエネルギー補給

  • 精神的なリラックス効果

  • 冷え・むくみの改善

 

また、鍼灸は「治す」だけでなく、「整える」治療。

定期的に続けることで、疲れにくく、ストレスに強い体づくりにもつながります。

 

 

 

日常でできる倦怠感ケア

 

鍼灸と合わせて、日常生活でも次のようなケアを意識してみましょう。

 

  • 朝起きたら深呼吸で気を巡らせる

  • 冷たい飲み物を控え、常温か温かいものを摂る

  • 1日10分でも軽いストレッチや散歩をする

  • 寝る前のスマホは控え、リラックスタイムを作る

  • 食事は「よく噛む」「腹八分目」を意識する

 

これらはどれも、東洋医学的に「気血の流れ」をよくする習慣です。

 

 

 

まとめ

 

倦怠感は、体のどこかひとつが悪いのではなく、「全体のバランスが崩れている」サイン。

東洋医学では、気・血・水の巡りを整え、心身の調和を取り戻すことで根本的な改善を目指します。

 

「何となくだるい」「元気が出ない」

――その小さなサインを見逃さず、早めのケアを始めることが大切です。

 

鍼灸は、薬に頼らず自然の力で体を整え、内側から元気を引き出すサポートをしてくれます。

体と心が軽くなり、「今日も頑張ろう」と思える日常へ。

鍼灸は、そんな一歩を取り戻すための穏やかで確かな治療法です。

 

 

 

 
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