喉のつかえと鍼灸

 

 

 

〜「気の滞り」がもたらす不快感を整える東洋医学的アプローチ〜

 

「喉に何かが引っかかる感じがする」「飲み込みづらいのに、検査では異常がない」

――このような症状を訴える方は少なくありません。

 

耳鼻咽喉科では「咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)」、あるいは「ヒステリー球(咽喉頭異常感)」と呼ばれます。

しかし、原因がはっきりしないことも多く、心身のバランスが関係している場合もあります。

こうした「喉のつまり」には、身体と心の両面からアプローチできる 鍼灸 が有効です。ここでは、そのメカニズムを東洋医学の視点から詳しく解説します。

 

 

 


 

 

 

喉のつかえの原因とは

 

喉の異物感やつかえ感は、実際に何かが詰まっているわけではなく、神経や筋肉の緊張、自律神経の乱れ、ストレスなどが原因で起こります。

主な要因には次のようなものがあります。

 

  1. ストレスや精神的緊張
     強いストレスや不安を感じたとき、交感神経が優位になり、喉や首まわりの筋肉が収縮します。その結果、「喉が締めつけられるような感じ」「何かが張り付いているような感じ」が生まれます。

  2. 自律神経の乱れ
     自律神経は呼吸や嚥下などをコントロールしています。生活リズムの乱れやホルモンバランスの変化で自律神経がうまく働かなくなると、喉の違和感や圧迫感が起こりやすくなります。

  3. 胃や食道の影響
     逆流性食道炎などで胃酸が喉に上がると、粘膜が刺激されて違和感が残ることがあります。

  4. 首・肩のこり
     首や肩の筋肉が緊張すると、喉まわりの筋肉も硬くなり、つかえ感を感じやすくなります。

 

このように、喉のつかえは「局所の問題」ではなく、「全身のバランスの乱れ」から起こることが多いのです。

 

 

 

東洋医学でみる喉のつかえ

 

東洋医学では、喉のつまりを 「梅核気(ばいかくき)」 と呼びます。

これは、「梅の種のようなものが喉に引っかかっている感じがする」ことから名づけられた言葉で、古くから心身の不調として知られています。

梅核気は主に、以下のような体内のアンバランスによって起こると考えられています。

 

  • 気滞(きたい)
     ストレスや感情の抑圧によって「気(エネルギー)」の流れが滞り、喉のあたりに停滞している状態。イライラ、ため息が多い、胸のつかえを感じるといった症状を伴います。

  • 痰湿(たんしつ)
     体の中の水分代謝が悪く、余分な水分(痰)がたまり、それが喉のまわりに滞る状態。重だるさやむくみ、胃の不快感を伴うことが多いです。

  • 肝気鬱結(かんきうっけつ)
     「肝」は感情のコントロールを司る臓で、ストレスが続くと働きが低下します。その結果、気の流れが上半身に停滞し、喉の詰まりや胸の圧迫感を引き起こします。

 

鍼灸では、このような「気の滞り」や「痰の停滞」を改善するために、ツボを使って全身の循環を整えます。

 

 

 

 

 

 

鍼灸による治療アプローチ

 

喉のつかえ感に対して、鍼灸では 全身を整える治療 を行います。

喉だけでなく、胸・お腹・手足のツボを使うことで、体の内側から流れをスムーズにしていきます。

 

① 首・喉まわりのツボ


「天突(てんとつ)」「廉泉(れんせん)」「扶突(ふとつ)」など、喉の近くにあるツボをやさしく刺激します。

これにより、局所の緊張をゆるめ、呼吸を楽にします。

 

② 胸・お腹のツボ


「膻中(だんちゅう)」「中脘(ちゅうかん)」「気海(きかい)」といったツボは、気の流れを整え、胸や喉のつまりを軽減する効果があります。特に膻中は「気の集まるツボ」とされ、精神的なストレスにも有効です。

 

③ 手足のツボ


「内関(ないかん)」「合谷(ごうこく)」「太衝(たいしょう)」などを組み合わせて、気の巡りを全身的に調整します。

ストレスや緊張をやわらげ、リラックス効果を高めます。

 

④ 温灸療法


お腹や背中に温灸を行うことで、自律神経を安定させ、体を内側から温めます。

冷えを伴うタイプの喉のつかえには特に効果的です。

 

 

 

鍼灸がもたらす効果

 

喉のつまり感は、精神的な緊張と身体のこわばりが同時に起きている状態です。

鍼灸の穏やかな刺激は、副交感神経を優位にし、呼吸を深く、筋肉を柔らかくします。

 

これにより、

 

  • 喉や首まわりの緊張がゆるむ

  • 胸の圧迫感が軽くなる

  • 呼吸が楽になる

  • 不安感やイライラが軽減される

 

といった変化が見られることが多いです。

鍼灸は単に「喉の違和感を取る」だけではなく、心と体をつなげて整える治療です。

定期的に受けることで、自律神経が安定し、再発しにくい体づくりにつながります。

 

 

 

日常でできるセルフケア

 

喉のつかえを感じたときは、次のようなセルフケアもおすすめです。

 

  • 深呼吸をゆっくり繰り返す

  • 胸を開くような軽いストレッチをする

  • カフェインや冷たい飲み物を控える

  • 寝る前に首や喉を温める

  • 自分の気持ちをためこまない

 

特に、「ため息をつくこと」も実は自然な呼吸調整。

気の滞りを流す意味で、無理に我慢する必要はありません。

 

 

 

まとめ

 

喉のつかえ感は、体の中の「気」の流れが滞っているサイン。

東洋医学では、気・血・水のバランスを整え、身体と心の緊張をほぐすことで根本的な改善を目指します。

検査で異常がなくても続く不快感――それは、体が発している小さなSOSかもしれません。

 

鍼灸は、その声にやさしく寄り添い、流れを整えることで、喉の軽さと心の落ち着きを取り戻すサポートをしてくれます。

息がしやすくなり、自然と深呼吸できるようになる。

そんな穏やかな変化を感じることが、鍼灸治療の魅力です。

 

 

 

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