耳鳴りと鍼灸

 

 

 

〜静けさを取り戻すための東洋医学的アプローチ〜

 

「キーン」「ジー」「ゴー」という音が、実際には鳴っていないのに耳の中で響く

――これが「耳鳴り」です。

 

多くの方が経験したことのある症状ですが、慢性的に続くと、眠れない・集中できない・気分が落ち込むなど、日常生活に大きな影響を与えます。

病院で検査しても「異常なし」と言われるケースも少なくありません。

そんなときに注目されているのが、体全体のバランスを整える 鍼灸治療 です。

 

ここでは、耳鳴りの原因と、鍼灸による改善アプローチを東洋医学の観点から解説します。

 

 

 


 

 

 

耳鳴りの原因とは

 

耳鳴りの原因はひとつではなく、いくつかの要因が重なって起こります。

代表的なものは以下の通りです。

 

  1. 内耳や聴神経のトラブル
     加齢や強い音の刺激、血流障害によって、耳の奥にある蝸牛や聴神経が過敏になり、音を誤って感じてしまうことがあります。

  2. 自律神経の乱れ
     ストレスや不眠、過労によって交感神経が優位になると、血管が収縮し、内耳の血流が悪化。耳の中の細胞に十分な酸素が届かず、耳鳴りを引き起こします。

  3. 首・肩のこりや姿勢の悪さ
     耳と首は密接に関係しています。首・肩まわりの筋肉がこると、耳への血流や神経伝達が滞り、耳鳴りやめまいを感じやすくなります。

  4. 血圧やホルモンの影響
     更年期や加齢によるホルモン変化、高血圧なども耳鳴りの要因となることがあります。

 

 

 

東洋医学でみる耳鳴り

 

東洋医学では、耳鳴りを「腎」「肝」「脾」のバランスの乱れとして捉えます。

 

  • 腎虚(じんきょ)タイプ
     耳は「腎」と深く関係するとされ、腎のエネルギーが不足すると耳鳴りや難聴が起こりやすくなります。加齢や疲労、睡眠不足が原因となることが多く、「低いゴーッという音」が特徴です。

  • 肝気上逆(かんきじょうぎゃく)タイプ
     ストレスで「肝」のエネルギーが上にのぼると、頭部の血流や神経の興奮が高まり、「キーン」「ピー」といった高音の耳鳴りが出やすくなります。イライラ、頭痛、目の疲れを伴うことが多いです。

  • 痰湿(たんしつ)タイプ
     体内の水分代謝が悪く、老廃物が耳まわりに滞っている状態。耳がつまった感じや、めまいを伴う耳鳴りに多く見られます。

 

鍼灸では、このような体質や原因に合わせてツボを選び、全身の「気・血・水(エネルギー・血液・体液)」の流れを整えることで、耳鳴りの改善を目指します。

 

 

 

 

 
 
 

鍼灸による耳鳴りへのアプローチ

 

耳鳴りの鍼灸治療では、耳周囲だけでなく、首・肩・頭、そして体全体を調整していきます。

 

① 耳まわりのツボ


「翳風(えいふう)」「聴宮(ちょうきゅう)」「聴会(ちょうえ)」「完骨(かんこつ)」など、耳の後ろやあごの付け根にあるツボを刺激します。これにより、耳への血流や神経伝達がスムーズになり、耳の圧迫感や不快感が軽減されます。

 

② 頭部・首・肩のツボ


「風池(ふうち)」「天柱(てんちゅう)」「肩井(けんせい)」などを使い、首や肩のこりを緩めて頭部の循環を促進します。

デスクワークやスマホ操作で硬くなった筋肉をほぐすことで、耳への負担を軽くします。

 

③ 体のバランスを整えるツボ


「腎兪(じんゆ)」「太渓(たいけい)」「三陰交(さんいんこう)」「太衝(たいしょう)」などを用い、腎や肝の働きをサポート。

内臓の機能や自律神経の安定を図り、耳鳴りの根本改善を目指します。

 

④ 温灸・温熱療法


耳鳴りの多くは血流の滞りと冷えが関係しています。温灸やホットストーンを併用し、身体を芯から温めることで治療効果を高めます。

 

 

 

鍼灸がもたらす効果

 

鍼灸による刺激は、神経や血管の働きを穏やかに整えます。

特に以下のような効果が期待できます。

 

  • 内耳や脳への血流改善

  • 聴神経の興奮を抑制

  • 首・肩・頭部の緊張緩和

  • 自律神経のバランス調整

  • ストレスの緩和

 

実際に治療を受けた方の中には、「耳鳴りの音が小さくなった」「音の高さが変わった」「静かな時間が増えた」などの変化を感じる方もいます。

 

 
 
 

日常でできるセルフケア

 

耳鳴りを悪化させないためには、生活習慣の見直しも大切です。

 

  • 十分な睡眠をとる

  • ストレスをためない(深呼吸や軽い運動がおすすめ)

  • カフェインやアルコールの摂りすぎに注意

  • 首や肩を冷やさない

  • 寝る前に耳のまわりを軽くマッサージ

 

また、音を完全に消そうとするのではなく、「気にしすぎない」ことも大切です。

意識を耳鳴りに集中しすぎると、脳がその音を強調して感じやすくなるため、リラックスして過ごすことが改善の一歩になります。

 

 

 

まとめ

 

耳鳴りは、耳だけの問題ではなく、体全体のバランスやストレス、自律神経の乱れが関係しています。

鍼灸では、耳の周囲を直接刺激するだけでなく、全身の「気・血・水」の流れを整えることで、根本的な改善を目指します。

「病院で異常がないのに治らない」「薬を飲んでも変わらない」という方こそ、東洋医学の視点から体を見直してみる価値があります。

静かな時間を取り戻し、心も体も穏やかに整えていく――鍼灸は、そんな自然でやさしい治療法です。

 

 

 
 
一覧に戻る

ご予約はこちらから

\相談だけでも大丈夫ですのでお気軽に/

はじめての方も安心の返金保証制度をご用意しております。
たった一度のご来院でも、我々の専門知識と確かな技術で
お客様のお悩みの症状に対する概念を、きっと変えられると思ってます。
是非一度お気軽にご相談ください。

ご予約はこちらから