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滑車神経麻痺と鍼灸 ― 東洋医学からの新しいアプローチ

滑車神経麻痺とは?
滑車神経麻痺(かっしゃしんけいまひ)は、目の動きを支える「外眼筋」の一つである上斜筋を動かす神経(第4脳神経)が障害されることで起こります。滑車神経はとても細い神経で、脳神経の中でも損傷を受けやすいといわれています。
この神経が麻痺すると、上斜筋の働きが低下し、物が二重に見える「複視」や、斜め方向を見たときの目の動きの不自然さが生じます。
特に本を読むときや階段を降りるときに視線のズレが強く出やすく、日常生活に不便を感じることが少なくありません。
また、首をかしげるような姿勢をとることで、無意識に複視を補正しようとする特徴もあります。
西洋医学的な原因と治療
滑車神経麻痺の原因には、脳血管障害(脳梗塞や動脈硬化)、頭部外傷、糖尿病や高血圧などの生活習慣病、腫瘍、炎症、そして先天性のものなどがあります。
治療としては、まず原因となる疾患への対応が基本です。
自然回復する例も多く、経過観察が行われることもあります。
一方で、複視が強く日常生活に支障がある場合は、プリズム眼鏡や手術が選択される場合もあります。
ただし、回復に時間がかかるケースや、後遺症的に症状が残る方もおられます。
東洋医学からみた滑車神経麻痺
東洋医学では、目の働きは「肝」と深い関わりがあるとされています。
肝は「血を蔵し、目に開竅する」といわれ、血流やエネルギー(気)の巡りが悪くなると、視覚の不調が起こりやすくなります。
また、腎は「精を蔵し、脳や神経の働きを支える」と考えられ、神経麻痺との関わりが重視されます。
滑車神経麻痺に相当する状態は、東洋医学的には「肝血不足」「気血両虚」「痰湿阻滞」などが背景にあると捉えることができます。
つまり、全身のエネルギー循環の滞りや、体の回復力の低下が、目の筋肉や神経に影響していると考えられるのです。
鍼灸でのアプローチ
鍼灸では、目そのものに直接刺激を加えるのではなく、全身の気血の巡りを整えることで回復を助けます。
具体的には以下のような施術が行われます。
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局所のツボ刺激
「睛明(せいめい)」「攅竹(さんちく)」「太陽」など目の周囲のツボを使い、血流を促して筋肉や神経の働きをサポートします。 -
全身調整のツボ
「肝兪(かんゆ)」「腎兪(じんゆ)」「足三里(あしさんり)」「合谷(ごうこく)」などを用いて、肝腎の機能を高め、神経修復力や自己回復力を後押しします。 -
自律神経の安定
頭部や背中のツボを刺激することでリラックス効果が得られ、緊張性の眼精疲労やストレス性の不調にも対応します。
灸を組み合わせることで局所の血行をさらに改善し、神経や筋肉に栄養が届きやすい状態を作ることもあります。
鍼灸が期待できる効果
滑車神経麻痺に対する鍼灸の役割は、直接神経を修復することではなく、体が持つ回復力を高めるサポートです。
具体的には、
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神経や筋肉への血流改善
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目の周囲の筋緊張緩和
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免疫や自律神経のバランス調整
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疲労回復や睡眠の質改善
といった効果が期待できます。
これにより、自然回復を促進し、症状の改善や生活の質向上に貢献することができます。
日常生活でできる工夫
滑車神経麻痺の回復をサポートするためには、鍼灸だけでなく生活習慣の見直しも重要です。
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十分な睡眠をとり、神経の修復を助ける
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ストレスを溜め込まず、心身をリラックスさせる
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ビタミンB群やDHA・EPAなど、神経や血管を守る栄養を摂取する
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視力に負担をかけすぎないよう、スマートフォンやパソコンの使用を適度に調整する
これらの工夫を組み合わせることで、より良い回復が期待できます。
まとめ
滑車神経麻痺は、複視や不自然な頭位を引き起こし、生活に大きな不便をもたらします。
西洋医学の治療が第一選択ですが、回復までの過程で鍼灸を取り入れることで、血流や自律神経のバランスを整え、自然治癒力を高めることが可能です。全身を整える東洋医学的アプローチは、症状そのものだけでなく、再発予防や生活の質の向上にも役立ちます。
「なかなか改善しない」「薬だけでは不安」という方は、ぜひ鍼灸を併用する選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。
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