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黄斑変性症と鍼灸 ― 見える力を支える東洋医学の可能性

はじめに
「中心がゆがんで見える」「文字が欠けて見える」「まぶしくて見づらい」
──これは加齢黄斑変性症の代表的な症状です。
黄斑とは網膜の中心部分で、物を見るうえで最も重要な働きを担う場所です。そこが障害されると、生活の質に大きな影響を与えます。
現代医学では抗VEGF薬の注射やレーザー治療などが進歩し、多くの患者さんの視力低下を食い止めています。
しかし完治は難しく、再発予防や症状の安定化には生活習慣の改善や補助療法が欠かせません。
その補助療法のひとつとして注目されているのが「鍼灸」です。
黄斑変性症とは
黄斑変性症は、網膜の中心部「黄斑」が傷害される病気で、大きく2種類に分けられます。
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滲出型(しんしゅつがた)
異常な新生血管が網膜下に発生し、出血やむくみを起こすタイプ。進行が早く、急激に視力が低下することもあります。 -
萎縮型(いしゅくがた)
加齢により黄斑の細胞が徐々に萎縮していくタイプ。進行は緩やかですが、視力がじわじわ低下します。
危険因子として、加齢・喫煙・高血圧・紫外線曝露・脂質異常などが知られています。
東洋医学から見た黄斑変性症
東洋医学では「目は五臓六腑の精気の集まるところ」とされ、とくに「肝」と「腎」が深く関わると考えます。
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肝血不足(かんけつぶそく)
肝は血を蓄え、目に栄養を送る役割を担います。加齢やストレス、血虚体質によって肝血が不足すると、視力の低下やかすみ目につながります。 -
腎精不足(じんせいぶそく)
腎は「精」を蔵し、成長や老化を司ります。腎の弱りは目の老化と直結し、黄斑の萎縮につながると考えられます。 -
瘀血(おけつ)
血流の滞りがあると、目の中心部に栄養が届きにくくなり、視力の低下や病変の悪化につながります。
つまり、黄斑変性症は「加齢による腎の衰え」「肝血の不足」「血流の停滞」が重なって発症・進行すると捉えることができます。
鍼灸で期待できる効果
鍼灸は病気そのものを治すというよりも、「進行を緩やかにし、生活の質を保つ」ことを目的に行われます。
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目の血流改善
目や頭部の周囲のツボを刺激して血流を促進し、黄斑部への酸素と栄養供給を助けます。 -
自律神経調整
合谷や百会、内関などを用い、自律神経のバランスを整えることで血管の収縮・拡張を調整します。 -
全身の体質改善
腎兪・太谿で腎を補い、肝兪・太衝で肝を養い、足三里・三陰交で気血を整えるなど、全身調整を行うことで目にエネルギーが届きやすい状態をつくります。 -
精神的サポート
視力低下は精神的ストレスにもつながります。鍼灸のリラックス作用により、不安や焦燥感の軽減も期待できます。
よく用いられるツボ
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睛明(せいめい)・攅竹(さんちく)・太陽(たいよう) … 目の血流を促進
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合谷(ごうこく) … 顔や目の症状全般に効果
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風池(ふうち) … 頭部の循環を整える
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肝兪(かんゆ)・腎兪(じんゆ) … 目の機能を支える臓腑を補う
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足三里(あしさんり)・三陰交(さんいんこう) … 全身の気血を整える
個人の体質や症状の進行度によって選穴が異なります。
生活習慣の工夫
鍼灸と並行して、日常生活でできる工夫も大切です。
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禁煙を徹底する
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緑黄色野菜や青魚など抗酸化作用のある食材を摂取する
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強い紫外線を避け、サングラスを使用する
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適度な運動で血流を促す
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高血圧や糖尿病をしっかり管理する
これらの習慣は、鍼灸の効果をより高め、病気の進行を抑える助けになります。
注意点
黄斑変性症は放置すると失明のリスクがあります。
鍼灸はあくまで補助的なケアであり、眼科での診断・治療が最優先です。
定期的な検診を受け、必要に応じて西洋医学的治療と併用することが安全です。
まとめ
黄斑変性症は高齢社会で増加している病気であり、視力を守ることは生活の質を維持するうえで非常に重要です。
鍼灸は血流改善や自律神経調整、体質改善を通じて、目の健康を支える補助療法として期待できます。
「もう歳だから仕方ない」とあきらめる前に、鍼灸を取り入れて目の働きをサポートし、快適な生活を続けていきましょう。
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