斜視と鍼灸 ― 東洋医学からのサポート

 

 

 

斜視とは

 

斜視とは、両目が同じ方向を向かず、片方の眼球が内側や外側、上下にずれてしまう状態を指します。

本来、両目は協調して動き、脳が二つの映像を統合することで立体的にものを認識しています。

しかし斜視があると、二重に見える(複視)、物の位置感覚がつかみにくい、視力の発達に影響するなどの問題が生じます。

小児に多いイメージですが、大人でも神経や筋肉の障害、疲労や外傷などが原因で発症することがあります。

 

 

 

西洋医学における治療

 

斜視の治療は原因や年齢によって異なります。

小児では視力の発達を守るために早期の眼鏡装用やアイパッチ療法、必要に応じて外科的な手術が行われます。

成人では、原因が神経麻痺や外傷である場合、その治療が優先されます。

プリズム眼鏡で複視を軽減したり、手術で筋肉の位置を調整したりする方法もあります。

しかし、すべての症例で完全な改善が得られるわけではなく、長期にわたるリハビリや生活の工夫が必要になる場合もあります。

 

 

 

 

 

 

東洋医学の視点

 

東洋医学では、斜視の背景に「気血の巡りの滞り」や「経絡の不通」、さらには「肝の不調」が関与していると考えます。

古くから「肝は目に開竅する」とされ、肝の働きが弱ると目の機能にも影響が出やすいとされています。

また、長時間のパソコン作業やストレス、疲労などは気血の流れを妨げ、目周囲の筋肉や神経の働きを乱す要因となります。

鍼灸はこの滞りを改善し、全身のバランスを整えることで、目の働きをサポートしていきます。

 

 

 

鍼灸のアプローチ

 

鍼灸治療では、局所と全身の両面から働きかけます。

局所的には、目の周囲のツボ(攅竹・魚腰・四白・承泣など)に鍼を用いて血流を促進し、筋肉の緊張や神経の働きを助けます。

また、こめかみ付近の太陽や頭頂部の百会、首の風池・天柱も用い、脳や目への循環を整えます。

全身的には、肝経・胃経・胆経など目と深い関わりを持つ経絡にあるツボ(太衝・足三里・光明など)を用いることで、全身の気血を補い、回復力を高めます。

お灸による温熱刺激を組み合わせることで、自律神経を整え、目の周囲の回復を後押しすることもあります。

 

 

 

期待できる効果

 

鍼灸が直接的に眼筋の位置を変えるわけではありませんが、目の周囲の筋肉や神経の緊張を緩和し、血流や代謝を改善することで、症状の緩和や自然回復のサポートにつながる可能性があります。

特に、複視による頭痛や肩こり、全身の疲労感など随伴する不快症状をやわらげる効果が期待できます。

また、リラックス作用によりストレスを軽減し、長期的な回復を助ける点も大きな魅力です。

 

 

 

注意点

 

ただし、斜視には原因が多岐にわたり、中には脳や神経の重大な病気が隠れている場合もあります。

急に目の位置がおかしくなった、複視が出たなどの症状がある場合は、まずは必ず眼科や神経内科での精密検査を受けることが最優先です。そのうえで、状態が安定している場合やリハビリの一環として鍼灸を取り入れることが望ましいといえます。

 

 

 

まとめ

 

斜視は見え方や生活の質に大きな影響を与える症状ですが、原因や年齢によって改善の道筋はさまざまです。

西洋医学的治療と並行して、鍼灸による血流改善や全身調整を取り入れることで、自然回復を助け、不快な随伴症状を和らげることができます。目は心と体の状態を映す場所。

鍼灸は、体にやさしい補助療法として、斜視に悩む方に寄り添う選択肢となり得るでしょう。

 

 

 

 

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