「夕方になると足がパンパン」「一年中手足が冷たい」「なんとなく体がだるい」
こうした症状の背景には、「冷え」と「むくみ」という2つの体質傾向が隠れていることが少なくありません。

実はこの冷えとむくみ、どちらも単なる体調の問題ではなく、「血流・水分・エネルギー（気）の巡りの滞り」によって引き起こされている可能性があります。

そして今、薬に頼らず体の巡りを整える方法として、鍼灸（はり・きゅう）が注目されています。

今回は、冷えとむくみに悩む方へ、鍼灸でのアプローチと東洋医学の考え方をご紹介します。

 

 

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冷えとは？西洋医学と東洋医学の違い

現代医学では、冷えは「血流不足」や「末梢血管の収縮」「自律神経の乱れ」などが原因とされます。特に女性は筋肉量が少なく、体内で熱をつくる力が弱いため、冷えやすい傾向があります。

一方、東洋医学では「冷え」は明確な“病態”として扱われ、「陽気（体を温めるエネルギー）の不足」や「気血の滞り」「水の巡りの悪さ」などによって引き起こされると考えられます。

体の深部から温めるためには、一時的な対策（カイロ・厚着）だけでなく、「体質改善」が必要になるのです。

 

 

むくみとは？単なる水太りじゃない

むくみは、体内の水分代謝がうまくいかず、細胞と細胞の間に余分な水分が溜まった状態です。

 

・　足のむくみ：立ちっぱなし・座りっぱなしで血液が下半身に滞る

・　顔のむくみ：寝起き・塩分過多・冷えなどが原因

・　全身のむくみ：代謝の低下や内臓の働きの不調によるケースも

 

東洋医学では、これを「水滞（すいたい）」と呼び、「脾（ひ）」や「腎（じん）」の機能が落ちているサインととらえます。つまり、体内の“水をさばく力”が弱くなっているのです。

 

 

 

 

鍼灸で冷えとむくみにアプローチする理由

鍼灸は、体表にある「ツボ（経穴）」を刺激することで、体の巡りを整え、自律神経やホルモンバランスを調整していく伝統的な東洋医療です。

 

冷えやむくみに対しては、以下のような働きが期待できます：

・　血行促進：ツボ刺激により末端まで血液がめぐる

・　体温調節：自律神経に働きかけて体内の温度バランスを整える

・　水分代謝の改善：脾・腎の働きを高め、体内の水の巡りを正常化

・　気血の流れを活性化：エネルギーの通り道である「経絡（けいらく）」を整える

 

また、鍼（はり）だけでなく、お灸による温熱刺激は冷えやむくみに対して非常に効果的です。じんわりと深部から温まる感覚に、リラックスする方も多くいらっしゃいます。

 

 

よく使われるツボ

冷えやむくみに対する鍼灸施術では、以下のようなツボがよく使われます：

 

・　三陰交（さんいんこう）：内くるぶしから指4本上。女性の冷え・むくみ・生理不調にも有効。

・　足三里（あしさんり）：膝の下、スネの外側。消化吸収を助け、全身の気血を補う。

・　陰陵泉（いんりょうせん）：膝の内側、脛骨の内側縁。水分代謝に深く関わるツボ。

・　腎兪（じんゆ）：腰のあたり。腎の機能を活性化し、深部の冷えを改善。

 

これらのツボを使って、鍼やお灸でやさしくアプローチしていきます。刺激は強すぎず、施術中に眠ってしまう方も多いほどです。

 

 

鍼灸治療の進め方

冷えやむくみは、長期間かけて蓄積された体質的な問題であることが多いため、1〜2回の施術で劇的に改善するものではありません。

 

週に1回ペースで3〜6回続けていく中で、

・　手足が温かくなってきた

・　足の重だるさが減った

・　朝スッキリ起きられるようになった

 

といった変化が見られます。あわせて、自宅でできるセルフ灸やストレッチ、食事指導なども取り入れると、より効果が高まります。

 

 

こんな方におすすめ

以下のような症状がある方は、冷えとむくみの体質改善を検討してみてください：

 

・　1年中手足が冷たい

・　お風呂に入ってもすぐ冷える

・　デスクワークで足がむくみやすい

・　朝起きたとき顔がむくんでいる

・　天気が悪い日に体がだるい

・　生理の前後に冷え・むくみがひどくなる

 

こうした方には、鍼灸のやさしい刺激が体質改善への第一歩となるかもしれません。

 

 

最後に

冷えとむくみは、多くの人が「体質だから」とあきらめがちですが、鍼灸を通じて体の巡りを整えることで、少しずつ内側から変わっていくことが可能です。

東洋医学は「部分」ではなく「全体」を見る医学。冷えもむくみも、あなたの体からのサインととらえて、丁寧に向き合ってみませんか？

日々の不調が和らぎ、体が軽くなる感覚をぜひ一度、体験してみてください。