日常生活のなかで「なんとなく息を吸いづらい」「深呼吸がしにくい」と感じたことはありませんか？

風邪や喘息などのはっきりとした病気ではないのに、胸が重く感じたり、うまく空気が入ってこない感覚が続くと、不安にもなります。

こうした「息のしづらさ」は、体だけでなく心の状態とも深く関係しています。

西洋医学的な観点とあわせて、東洋医学や鍼灸の視点から解説していきます。

 

 

 

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息苦しさの背景にあるもの

 

呼吸がスムーズにできない感覚の原因は多岐にわたります。

 

• 姿勢の悪さや肩・胸の筋肉の緊張

• 自律神経の乱れによる呼吸リズムの不安定

• ストレスや不安感による過換気傾向

• 胃腸の不調による横隔膜の動きの制限

• 季節の変化による気道の敏感さ

 

特に最近は、デスクワークやスマホの長時間使用による「猫背姿勢」で胸郭（胸のかご）が広がりにくくなり、息が浅くなっている方が増えています。

 

 

 

東洋医学からみた「息のしづらさ」

 

東洋医学では「呼吸」は単なる空気の出し入れではなく、「気」の流れそのものと考えられています。

息を吸う・吐くは、体の「気」が巡ることと表裏一体。

呼吸がしづらいと感じるのは、「気の流れが滞っている」「気が不足している」サインととらえられます。

 

特に関わりが深いのは以下の3つの臓腑です。

 

• 肺：呼吸を司る中心。肺の働きが弱まると「気」が十分に巡らず、息切れや浅い呼吸につながります。

• 脾（消化機能）：飲食物から「気」を作り出す臓。脾が弱ると体全体のエネルギー不足となり、呼吸も弱まります。

• 肝：気の巡りを調整する役割。ストレスや感情の停滞で肝の働きが乱れると、胸がつかえるような呼吸のしづらさが出ます。

 

つまり、「息が吸いにくい」感覚は、単に肺だけの問題ではなく、体全体の気血の巡りや自律神経の状態を映し出しているのです。

 

 

 

 

 

 

鍼灸でのアプローチ

 

鍼灸では、症状だけを追うのではなく「なぜ息がしづらいのか」を体全体のバランスから読み解いていきます。

 

1. 呼吸を助けるツボ
   　胸の前にある「膻中（だんちゅう）」は、気の流れを整え、胸のつかえをやわらげる代表的なツボです。背中側では「肺兪（はいゆ）」や「膈兪（かくゆ）」が呼吸をサポートします。

2. 気の不足を補うツボ
   　手足の「足三里（あしさんり）」「気海（きかい）」は体全体のエネルギーを養い、呼吸の基盤となる気を充実させます。

3. ストレスを和らげるツボ
   　胸のつかえや息苦しさがストレスから来ている場合は、「太衝（たいしょう）」「内関（ないかん）」などで肝の働きを整え、心の緊張をほぐします。

4. 自律神経の調整
   　鍼灸は副交感神経を優位にし、呼吸を深く落ち着かせる作用があります。施術後に「自然と深呼吸ができるようになった」と感じる方は少なくありません。

 

 

 

日常生活でできる工夫

鍼灸治療を受けながら、日常のなかで意識できることもあります。

 

• 姿勢を正し、胸を広げるように意識する

• お腹からゆっくり息を吸う「腹式呼吸」を取り入れる

• 睡眠をしっかりとり、自律神経のバランスを保つ

• カフェインやアルコールを控えめにして呼吸を乱さない

• 不安や緊張を感じたときは、口をすぼめて「ゆっくり吐く」ことを意識する

 

こうした習慣が呼吸のしやすさにつながり、鍼灸の効果を持続させてくれます。

 

 

 

まとめ

 

「息を吸いづらい」という感覚は、肺や気道の問題に限らず、姿勢・筋肉の緊張・自律神経・ストレスなど、さまざまな要因が絡み合って生じます。

東洋医学では、呼吸を「気の流れ」ととらえ、肺・脾・肝の働きのバランスを整えることで改善を目指します。

鍼灸はそのための有効な手段であり、全身の調整を通じて呼吸のしやすさを取り戻すサポートをします。

「深く息が吸える」ことは、それだけで心も体も軽くし、安心感をもたらします。

小さな違和感を放置せず、体からのサインを受け止めて、鍼灸で呼吸と心を整えてみてはいかがでしょうか。

 

 

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