「十分寝たのに疲れが残る」「朝起きても体がだるく、仕事や家事がつらい」

――こうした症状を感じる方は少なくありません。

 

医学的に特定の病気が見つからないことも多く、患者さん本人は強い不安や焦りを抱くことがあります。

このような疲労は 非回復性疲労 と呼ばれ、睡眠の質や自律神経、体の気血の状態が大きく関係していると考えられます。

 

 

 

症状の特徴

 

• 十分な睡眠をとっても疲れが取れない

• 体のだるさ・頭の重さ・集中力低下を感じる

• ストレスや過労で悪化しやすい

• 検査では特に異常がないことが多い

 

非回復性疲労は「休めば治る」と思われがちですが、実際には体の中で疲労回復のシステムがうまく働いていない状態です。

 

 

 

西洋医学的に考えられる要因

 

• 睡眠の質の低下
  → 浅い睡眠や中途覚醒が多いと、体は休まらない。

• 自律神経の乱れ
  → 交感神経が優位になったままだと、休息中も体が疲れやすい。

• ストレスや精神的負荷
  → ホルモンや神経の働きが乱れ、回復力が低下する。

 

 

 

 

 

 

東洋医学的な見方

東洋医学では、非回復性疲労は 「気血不足・肝脾腎の機能低下」 と考えます。

 

• 気虚（ききょ）
  → 体を動かすエネルギーが不足し、疲れやすい。

• 血虚（けっきょ）
  → 血が不足し、筋肉や脳への栄養が足りず疲労感が残る。

• 肝脾腎のバランスの乱れ
  → 肝はストレス、脾は消化吸収、腎は回復力に関わるため、全身の疲労感につながる。

 

 

 

鍼灸でのアプローチ

鍼灸では、疲労の根本にある 気血の不足や自律神経の乱れ を整えることを目的に施術します。

 

• よく使うツボ

  • 足三里（あしさんり）…気血を補い、疲労回復を促す

  • 百会（ひゃくえ）…頭の巡りを改善し、精神的疲労を緩和

  • 内関（ないかん）…自律神経を整え、ストレス緩和

  • 太渓（たいけい）…腎の機能を補い、体力回復を助ける

 

• 期待できる効果

  • 疲労感の軽減

  • 睡眠の質の向上

  • 自律神経や肝脾腎のバランス改善

 

 

 

日常でできるセルフケア

 

1. 規則正しい睡眠

   • 就寝・起床時間を一定にし、体内リズムを整える。

2. 軽い運動やストレッチ

   • 血流を促し、気血の巡りを良くする。

3. 食事で気血を補う

   • 鶏肉、卵、黒豆、根菜類などをバランスよく摂取。

4. ストレスマネジメント

   • 深呼吸や軽い瞑想、温かい入浴で自律神経を整える。

 

 

 

まとめ

 

寝ても疲れが取れない非回復性疲労は、体のエネルギー不足や自律神経の乱れが背景にあります。

鍼灸では気血を補い、肝脾腎の働きを整えることで疲労感の軽減や睡眠改善が期待できます。

休んでも回復しない疲れを放置せず、全身のバランスを整えることが、日々の活力につながります。

 

 

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