不眠の原因は様々ですが、

高齢、体調不良、精神的ストレスがある、ストレス解消がうまくできない、運動不足、仕事に就いていないなどの状態にある人には、不眠になりやすい傾向があるといわれています。

また、「今夜こそは寝るぞ」あるいは「今夜も眠れないかも…」と思っていると、かえって緊張感や不安が大きくなってしまい、ますます眠れなくなります。

 

 

 

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不眠症とは？

 

不眠症は、寝つきが悪い・眠りが浅く何度も目覚める・早朝に目覚めてしまうなどの睡眠問題を抱え、日中に心や体の不調があらわれる病気です。

 

一過性の不眠は、決して珍しいものではありません。

例えば、大事な試験やプレゼンテーションの前日に緊張で眠れない時や、出張や旅行先などいつもと違う環境で眠れなくなる夜など、不安やストレスで一時的に眠れなくなるのは誰にでもあることです。

通常、このような不眠体験は数日～数週間で収まり、その後はまた問題なく眠れるようになります。

しかし、夜間の不眠が続き、日中に心身の不調があらわれて生活の質が低下している場合は不眠症かもしれません。

 

特に、週に3日以上の不眠による不調が3ヵ月以上続いている場合は「慢性不眠症」が疑われます。

もっとも、睡眠時間が短い場合、眠りが浅い場合、あるいは夜間の覚醒回数が多い場合でも、日中の生活に支障がなければ不眠症とはいえません。

実際、睡眠時間が3～4時間程度で眠りが浅いと感じている人であっても、日中に不調があらわれなければ不眠症と診断されることはありません。

つまり、不眠症とは睡眠時間によって定義される病気ではなく、継続的な不眠によって心身の不調、ひいては生活の質の低下を招くことで初めて診断される病気といえます。

 

 

 

 

 

 

不眠症の種類

 

不眠症には、「寝つきが悪い」「夜中に何度も起きてしまう」など、さまざまな症状がありますが、

大きく以下4つのパターンに分けられます。

 

・　入眠障害

 

入眠障害とは、布団に入ってから30分〜1時間以上かかってからでないと寝付けない状態で、それを苦痛に感じていたり、生活に支障が出ていたりする状態のことです。

人によって入眠にかかる時間は異なるため、入眠までの時間が長いからといって一概に障害だとは言い切れませんが、それに伴って生活に支障が出ている状態は改善する必要があります。

睡眠障害の訴えで最も多く、不安や緊張が強い時におこりやすいといわれています。

 

 

 

・　中途覚醒

 

睡眠中に何度も目が覚めて、その後、なかなか寝つけない状態です。

生活習慣やストレスが原因の場合には、習慣を整えていくことが大切です。

また、アルコールの摂取によって浅い睡眠になり、短い時間で目覚めやすくなります。

寝酒は寝つきがよくなりますが、中途覚醒をしやすくなり、寝酒をしないときにも習慣になってしまうため控えましょう。

夜間の頻尿によって中途覚醒が起きてしまう場合は、不眠による問題ではない可能性があります。

日本人の成人の不眠で最も多く、中高年・高齢者に多くみられるといわれています。

 

 

 

・　早朝覚醒

 

早朝覚醒とは、起きたい時間や、普段の起床時間よりも2時間以上早く目覚めてしまい、再び寝られなくなってしまう状態のことを指します。

若者よりも、高齢者に多くみられることが特徴です。

加齢そのものが大きく影響していることと、加齢とともに寝る時間が早くなるため起きる時間も早くなること、

加齢とともに必要となる睡眠時間が短くなっていくことが影響しているといわれています。

 

 

 

・　熟眠障害

 

睡眠時間は十分なのに、ぐっすり眠った感じが得られない、眠りが浅い状態です。

睡眠時無呼吸症候群や寝ている間に足がぴくんぴくんと動く周期性四肢運動障害など、睡眠中に症状の現れる病気が関係していることもあります。

 

 

 

東洋医学からみた“不眠”の捉え方

 

東洋医学では、睡眠は「気・血・陰陽」のバランスが整っていることで自然に訪れるものと考えます。

夜は“陰”の時間帯で、体も心も静かに休む状態が理想です。

ところが、日中にストレスや過労が重なると“陽気”が過剰になり、夜になっても体が鎮まらない

──これが、東洋医学的にいう“不眠”の状態です。

 

特に関係が深いのが「心（しん）」と「肝（かん）」です。

「心」は精神や思考をつかさどり、「肝」は気の流れと情緒を調整する働きがあります。

ストレスが続くと肝の気が滞り、心の安定が乱れて眠りに入りにくくなります。

また、血が不足していると心が落ち着かず、眠りが浅くなることもあります。

 

 

 

 

 

鍼灸で整える「眠りのリズム」

不眠の治療では、まず自律神経のバランスを整えることを目的にします。

鍼灸では、交感神経（活動モード）を静め、副交感神経（休息モード）を高めるように刺激を行います。

たとえば、手首の「神門（しんもん）」や、足首の「太谿（たいけい）」、頭部の「百会（ひゃくえ）」などのツボを使うことで、心身の緊張をゆるめていきます。

施術を受けている途中で、「あれ？体がぽかぽかしてきた」「気づいたら寝てしまっていました」という方も多いです。

鍼の刺激はとてもやさしく、筋肉や血流だけでなく、脳にも穏やかなリラックス信号を送ります。

その結果、夜の眠りが自然に深くなり、「朝までぐっすり眠れた」と感じられる方が少なくありません。

 

 

 

現場で感じる“不眠の背景”

不眠の原因は、単に「寝つけない」というだけではありません。

実際の治療の中では、肩や首のこり、胃腸の不調、ホルモンバランスの乱れなどが絡み合っていることが多いです。

たとえば、肩こりが強い人は首まわりの筋肉が固く、脳への血流が滞ることで睡眠の質が下がることがあります。

また、ストレスで胃腸が冷えていると、夜間に体温が下がりすぎて眠りが浅くなることも。

 

実際にご来院された女性の患者さんは、「寝ても疲れが取れない」「夜中に2回ほど目が覚める」とお悩みでした。

お腹や足のツボを使って全身の巡りを整える施術を重ねるうちに、

「最近、夜にトイレで起きなくなりました」と笑顔を見せてくださいました。

眠れるようになることで、翌朝の気分や集中力、肌の調子まで変わってくるんです。

 

 

 

生活の中でできるセルフケア

鍼灸で体のバランスを整えるのと同時に、日常生活の見直しも大切です。

 

・寝る1時間前はスマホを見ない

・カフェインや冷たい飲み物を控える

・軽いストレッチや深呼吸で体を緩める

・お風呂はぬるめで15分ほど浸かる

また、寝る前に手足を温めることも効果的です。

足首をさすったり、ツボ押しで「三陰交（さんいんこう）」を刺激するのもおすすめです。

体が温まると、副交感神経が優位になり、自然と眠気が訪れやすくなります。

 

 

 

鍼灸で“眠れる体質”をつくる

不眠は、薬で一時的に眠ることもできますが、

根本的には「眠れる体」に戻していくことも大切です。

鍼灸の魅力は、眠りを妨げている体の緊張や内臓の冷え、気の滞りをやさしく整えて、

本来の自然なリズムを取り戻す手助けができるところにあります。

 

「眠りは健康のバロメーター」です。

夜ぐっすり眠れれば、日中の集中力や気分も安定し、体の回復力が上がります。

不眠に悩む方こそ、無理に「寝なきゃ」と頑張るより、

鍼灸で体を整える時間を持ってみてください。

“眠れる体質”を取り戻す第一歩になるはずです。

 

 

眠りは努力ではなく、体が自然に戻っていくサインです。

焦らず、やさしく、自分の体をいたわってあげてください。

鍼灸は、その「眠りへのスイッチ」をそっと押すお手伝いをします。

 

 

 

 

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